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「目標、捕捉。武装した男性と少女が一名ずつ」
木の幹に背を預け、顔だけを動かして状況を確認する
少年の隠れている位置から二十メートル程の場所に、先ほどの声の主達を発見する
一人は、全身白い鎧を身に纏い、手にした西洋剣らしきものを構える青年
もう一人は、肩口まで伸びた金髪に、これまた純白の洋服を着込んだ美少女
彼らの足下にも、同じ鎧を身につけた兵士らしき人物が倒れている
一目見ても、一行の形勢は不利
それに対する陣営は、もはや人ですらなく、二メートルを越える巨体に全身を覆う体毛
言うところの獣人、オオカミ人間らしきものが二体、涎を垂らしながらなめ回すように少女を観察している
軽く口笛を吹いた少年は、手にした石の感触を確かめ、あらぬ方向に大きく投げ飛ばす
葉に擦れ、幹にぶつかって落ちる鈍い音
突然の出来事に全員が振り返るが、それこそが少年の狙い
人狼の注意が逸れている間に飛び出し、音もなく倒れた兵士に走り寄る
そのまま、彼が手にしていた剣を取り上げ、一瞬にして獣の間合いまで詰め寄る
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