141人が本棚に入れています
本棚に追加
「マスター、ハーパーの水割りと軽めのカクテル、あとポッキーと野菜スティックを」
俺達は焼鳥屋を出て、地下の隠れ家的なバーに場所を移した。
白い口髭と、白髪を上品にオールバックにしたマスターが静かに微笑みうなずいた。
「さっきのお店も大好きだけど、やっぱりここの方が秀さんっぽいです」
「そうかな? 」
夏子は俺の耳に口を近付けて囁いた。
相手の希望、予想を敢えてハズす。
その後、間を置かずに相手の望む自分らしさを見せる。
そんな使い古された手は今尚 有効だ。
時代は変わっても、男の意外性に惹かれる女の本質は不変なんだろう。
そういう俺も、夏子の外見と中身のギャップに惹かれ始めている。
そして夏子はベリーニを飲みながら、俺の想像とは正反対の過去を語り出した……
.
最初のコメントを投稿しよう!