『幸福の時間』

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田舎作りの8畳の和室。 俺達家族の寝室だ。 いつものように布団を並べて寝ていた。 俺、ひとみ、健太、操。 ひとみはいつも、俺の右腕にしがみついて寝る。 健太は常に大の字。 操が優しく小さな声で囁いた。 「秀ちゃん、今日はお疲れ様……」 「ん? 起きてたのか? ひとみと健太、楽しめたかな? 」 「ふふ、ホントに楽しそうだった。 小川でザリガニを捕ったり、野原でお花を摘んだり…… お母さんが持って来てくれたおにぎりもスゴい美味しかった! お母さんも楽しそうだったし……」 「………… ごめんな 神奈川にいる頃はたまには遊園地やデパートに連れて行けてたのに…… 辛くないか?急にこんな田舎に連れて来られて……」 「全~然! むしろ今の方が楽しいくらい! ひとみも健太もお母さんも、あんな空気の悪い所より今の方が生き生きしてるわ! 」 「そうか…… お前達にはすまないと思ってるんだ。 俺の都合でこんな所に連れて来て。 たいした贅沢もさせてやれなくてな……」 「………… 秀ちゃん、そっち行っていい? 」 「ん? あぁ……」 .
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