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「じゃあ、サンドラおねえさんは王族の人なんだね。」
「王族・・・サンドラさんは、王宮に行きたくはないんですか?」
「私?私は、リンもいるし、お父さんのお世話もしなきゃいけないから、いかなくていいの。」
「・・・いや、サンドラさんは行きたくても行けないんだよ。俺もそうだったからわかるんだ。さすがに閉じ込められるほどはされなかったけど・・・俺が王の息子だと分かったとき、王宮のヤツらの視線は冷たくて、無理に笑顔作って、本当は前の生活のほうがよかったって、カシムたちのところに帰りたいって何回も思った。俺だけ幸せになっていいんだろうか、カシムたちは、仲間たちは大丈夫だろうか・・・そんな不安が日に日に積もっていった。きっと、サンドラさんも、王宮に行きたいはずだ。でも、家族や仲間を置いて一人で王宮にいくなんて不安で心配で、もしかしたら何年も後になって、自分のことは忘れられてるんじゃないかって不安に押しつぶされちまいそうになるんだよ。」
サンドラさんは、黙っていて、その目線がすべてを物語っていた。
「わしも、どうにかサンドラを外に出してやりたいんじゃが・・・」
「!!な、何を言っているの、お父さん!!私はここから出ないし、リンもお父さんもおいて行かないよ!」
「・・・さんどらおねえさんは、どうしたいの?」
「え・・・?」
アラジンの一言で、その場の空気がガラっと変わった。
「サンドラおねえさんは、王宮に行きたいの?それとも、ここで暮らしていたいの?」
「そ、それはもちろんここで暮らしたい・・・」
「それがおねえさんの気持ちなら、それでいいと思うよ。でも、この国を引っ張っていかなければいけない存在がおねえさんだと思うんだ。だから、一度だけでも、王宮に行ってみたらどうだい?」
「・・・・・・・」
サンドラさんは、そのまま黙ったままだった。
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