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俺たちは、リンに無理やり連れて行かれ、リンの母・サンドラとサンドラの父が二人で経営している宿屋に到着した。
とてもきれいな宿で、迎えてくれたのはサンドラの父だった。
「おじいちゃん、ただいま~!」
「おぉ、リン。おかえり・・・ん?だれだい?そこにいる御三方は・・・」
「お父さん、この方たちは旅をしている方たちなの。この人たち、お金も寝るところもないみたいだから、ここに泊まらせてあげてもいいかしら?」
「そうでしたか、どうぞどうぞこんなところでよければどうぞ使ってくだされ。」
「ありがとう、おじいさん!ところで、おじいさんの名前は何ていうんだい?」
「わしかい?わしはトータムというんじゃ。ここら辺の人たちには”トータムじいさん”とよばれているんじゃ~。」
「じゃあ、トータムさん、でよろしいでしょうか・・・?」
「えぇ、えぇ、好きなように読んでくだされ」
「じゃあ、トータムじいさん、この街は何ていう街なんだ?」
「ここかい?ここは小さな街でねぇ、滅多に旅人なんかこないんじゃが・・・ここは、サンドラと言う国の一角なんじゃ。」
「さんどら?おねえさんの名前と同じなんだね!」
「・・・そう、なんじゃよ・・・」
トータムじいさんは、少し不安げな表情で答えた。
「トータムさん、どうしたんですか?」
「・・・実は、なぁ・・・サンドラは、わしの娘は・・・サンドラ国の最初の国王の血を引き継ぐ人間なんじゃ。つまり、サンドラはこの国の女王なんじゃ。」
「えっ!それって、いいことじゃねーか!!」
「それが・・・現国王のタンガの命令で、わしらはこの街から出られないんじゃよ。きっと、タンガは次期国王を自分の息子にしようと考えとるんじゃろう。だからサンドラが女王になると、せっかくの計画が台無しになる。そのために、わしらをここに閉じ込めとるんじゃよ・・・」
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