あやかしの月の夜に

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「そういう訳には参らぬ。我が主が……貴女を求めるあまり、その命尽きようとしているからだ……」 ゆっくりと魔族の男がマチルダを見る。 「妖婦……マチルダ。主はあの夜より貴女に焦がれ、食事もままならなくなり……病床についてしまった……」 それを聞いた大魔女もぁらすが大きくため息を吐いた。 「なんや、マチ子のせいでアタシはとばっちりかい!!」 てかな、ともぁらすは続ける。 「マチ子に焦がれとるとか言う魔族。ひょこっとしたら……チェリーボゥイやったんちゃう?」 「いかにも。初めて本気になったのが……マチルダ殿と主から聞いている」 男の答えにもぁらすが再度ため息を吐いた。 「やっぱり……」 そうしてキッとマチルダを睨み付ける。 「あんたなぁ……。いい加減、童貞キラーは卒業しぃや。チェリーを喰ってくるたびに騒ぎになっとるやないか」 「騒ぎ? どこが?」 「忘れたとは言わさんで!! あんたが喰って……魔族に寝返ったさくらんぼユウを!!」
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