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「え?」
「あんなひどい目にあったら気分は良くないでしょ。そういう気持ちから離れたほうがいいと思って。お花って元気くれるから」
彼はじっと紙袋を見つめているだけなので、柚月は中のブーケを取り出して見せた。
「私、このお花屋さんが作るブーケがすごい好きなんです。なんていうかお花の中に妖精とか天使とかが遊んでいるような感じがして。
自分の悩んでいることとか、全部預けていいよって言われてる気がして心が軽くなるんです。だから……」
言いかけてハッとする。花を見て天使や妖精がいると感じても口に出して伝えたことはないからだ。
なんとなくそう言うことを伝えるとバカにされそうな気もしなくなはい。
だけど彼は笑うこともなく
「確かに、俺も天使を見たときは癒されたから言いたいことはわかるかも」
と真面目に答えた。
「え、天使見たことあるの?」
「うん。なんていうかその人の中に天使がいるのがわかった感じかな。
だからなんとなく言いたいことわかる。柚月ちゃんにとってお花はそういう存在なんだね」
と子供のように邪気のない笑顔を見せた。
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