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自分で言いながら少し照れてしまう。 だけど彼はひどく真面目な顔で 「俺も会いたかったよ、本当は。ゆづちゃんに会いたかった」 柚月を見つめながら言った。 それから「ごめん。避けてて」とハローくんは謝罪する。 「色々考えちゃって。ゆづちゃんの体調を悪くさせたり、迷惑をかけたこととか、すごく反省して。もうあんな思いさせたくないと思って、会わないほうがいいって勝手に思ってた」 「……そっか。それが理由だったんだ」 「でも、そんなことどうでも良かったって、 わかったから」 会っていなかったのに、お互いに似たようなことを感じていたらしくて、柚月はまた鏡のように感じた。本当に鏡なのかもしれない。こうして自分の心がどんなものか周りはいつも映して見せてくれているのかもしれない。なら、なおさら、心は澄んだ水のようでいたい。映し出す世界はきっと柚月が想像もできないような美しいものに変わるような気がするから。
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