エピローグ

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春休みになった。 今年は暖冬だったせいか、桜の開花が早かった。 今日はハローくんと出会った頃に約束したピクニックをすることになったが、桜の時期と重なったので、お花見と言ってもいいかもしれない。 早めに起きた柚月はお弁当の準備にとりかかる。 一人で作るのは不安もあって、ママに少し手伝ってもらうことにした。 2人でキッチンに立っていると、美織が 「春生とデートなの?」 となぜかハローくんを名前で呼ぶ。どっちが彼女かわからない。 初めの頃、そう呼ばれる度、美織を威嚇していたハローくんもどうやら諦めて最近では返事をするようになった。 美織もハローくんのことを毛嫌いしていたけど、最近ではこうして柚月と彼のデートのことなど気にかけている。 だいぶ打ち解けてきたなと柚月は2人のやりとりを見ていると微笑ましくもなる。 それにしても「私も手伝わせて」と言うから、珍しい。 ピーマンにひき肉を詰めてもらうと 「美織、入れすぎ」と山盛にされたひき肉を見てママが注意する。 「いいの。美織の愛情。生焼けで食べてもらうから」 「美織、食中毒になるからやめて」と柚月が笑って返すと 「はーい」と入れすぎた分をスプーンで落とした。
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