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《ヤッホー、楽しんでる?》
恐怖に足をすくわれそうになっていたところで、頭に直接声が響いた。
「!」
俺は本を閉じ、周りに誰かいないかを確認する
この世には携帯がない代わりに、念話というシステムが存在する。
いま頭に響いているのはその念話だと考えつつ、近くにいる可能性は捨てきれないので、一応気配を探った。
が、この感じだとおそらく大丈夫だろう、今この相手は遠くから念話を仕掛けていて、俺は一方的に聞かされているのだ。
「お前はだれだ?」
なるべく声を小さくして出す。
なぜ声を出したかというと、この念話がつながっている間は、自らの思考を相手に《話す》と念じれば、それが相手に伝わるようになっているが、俺はまだ慣れていないために声に出さないと相手に伝わらないのだ、面倒くさい。
《僕はねー、この世界の神だよー? 君は前の世界が好きだったっぽいから、ちょっと心配になって声を掛けてみたんだー》
「ふん、別に好きだったわけじゃねえよ」
ただ、俺は向こうの世界では若干勝ち組だったというだけのことだ。
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