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紅い月に照らされた森は、さながら血に塗れているようだ。錆び付いた門には蔦が絡み付き来るものを拒んでいる。
門の向こう、大きな古びた……よくいえば歴史を感じさせる洋館は、今日も異質な空気を漂わせていた。
そんな中、少女達の声が廊下に木霊する。大きな、慎ましやかという言葉からはかけ離れた下品な言葉使い。
対して、小さく儚い印象を持たせる声は、慎ましやかな淑女の物。
「あんなぁ! だからアタシの尻尾を触るな、このチンチクリンが!」
「……却下。揺れるのが悪い」
フリルをふんだんにあしらったメイド服。そのお尻の部分を持ち上げてしまう灰色の尻尾をもふもふと触る。見れば頭には三角形の耳まで生えている。
尻尾を触る少女は、顔の至るところに継ぎ接ぎの後がある。継ぎ接ぎの痛ましさが少女の儚さを一層引き立てているようにも見えた。
可愛らしいショーツが見えるのもお構いなしにライカンの少女は暴れだす。
青と白のストライプが視界を埋めると、継ぎ接ぎの少女はくすりと、馬鹿にしたように笑う。
「……いい年こいて、まだそんな下着穿いてるんだ……」
「う、うっせえやい! 今日はたまたまだ!」
「……黒のストライプに紫のストライプ、ピンクに緑にその他etcetc……全部ストライプ柄のくせに」
変態を全面に押し出した継ぎ接ぎの少女の言葉に顔をしかめ、花のように広がったスカートをそっと降ろす。
「な、なんで知ってるんだよ……」
顔を真っ赤に染めて、狼少女はちいさく呟く。
「……今日、私ね…………」
すすす、とフリルのスカートを捲り上げる。ほっそりとした足から徐々にショーツが見えてきた。
「……アナタのぱんつ、穿いてるから……」
狼少女の眼孔が目一杯広がり、いつも通りの悲鳴を上げる。
「へ、変態ーーーーーー」
この後メチャメチャ《自主規制》された。
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