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ガニガニ・9・ボーテは、自転車と格闘していた。
なかなかうまく乗れなかった。練習を始めて一週間、毎日練習すれども上達せず、すり傷を作ってばかりだった。
もちろん乗り方は勉強してきた。けれども体が理屈どおりには動いてくれない。まことにもどかしい。
今は地球人の格好をしているが、もともとはこの姿ではなかった――それも関係していると、ガニガニ・9・ボーテは分析した。
だが――と、力をこめてハンドルを握る。時間はあることだし、あきらめたりしないぞ。
意外と根性のある宇宙人であった。
しかし、いつまでも練習しているわけにはいかなかった。
練習場所はマンションの駐車場だった。昼間は駐車してあるクルマが少ないが、夕方になると、仕事などで出ていたクルマが戻ってくる。そうなると練習もやめざるを得ない。
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