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「どうも手足がスムーズに動かんなぁ……」
こけまくった末にあちこちすりむいて、ガニガニ・9・ボーテはつぶやく。
そのとき、猛烈な勢いで一台の大型デコトラックが駐車場へと入ってきた。派手な絵が描かれた車体には○正運送の文字。
駐車場の端のほうにいたガニガニ・9・ボーテは、何事だろうかと思わず注視する。
トラックが停止する。すると、そのトラックに向かって駆けよる人影。それが204号室の田仲正義と最近同居を始めたその妻・田仲柳子と娘の鈴であるのが遠目でもわかった。とくに田仲柳子は190センチを越える身長で赤い髪だからすこぶる目立つ。
ひどくあわてた様子で、しかしそれが異常な次元振動に干渉するエネルギーが観測されたための非常招集だということは、彼女たちの正体が異星人調査組織のメンバーであることを知らないガニガニ・9・ボーテにはわからない。
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