15人が本棚に入れています
本棚に追加
それでも、なにか普通ではない事態であることは、二人がキャビンではなく荷台に乗り込んだことからも察せられた。乗り込む際に開かれた後部ドアの内側にチラリと見えた、ギッシリ詰まったメカメカしい操作卓は、これがただの運送会社のトラックではなさそうだと思うに十分だった。
これは調べなければ――。
ガニガニ・9・ボーテは地球人調査のために派遣されたばかりの宇宙人だ。職業意識は高かった。
が、近づこうと一歩踏み出したとき、大きな人影が行く手をふさいだ。
「やあ、豊臣さん」
田仲正義だった。長身で筋肉質のごつい体は肉体労働者特有の汗くさい体臭を放っていた。
「自転車の練習ですか? 熱心ですなあ」
「はい。まあ……」
トラックに近づけない。
最初のコメントを投稿しよう!