その名はタロー

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 豊臣秀吉ことガニガニ・9・ボーテは、パソコンの画面を見つめていた。  画面には報告書のフォームが表示されており、墨野氏の職業欄が空白だった。  キーをたたいて、そこに入力する。  ――忍者。 「ああー、違う違う違う」  キャンセルして、文字を消す。  なにも報告できないことに、ガニガニ・9・ボーテは頭を抱えた。墨野氏は、いったい何者なんだ?  一方、隣の部屋でも、伊藤博文ことルケルケ・7・トーが腕組みをして思案していた。 「このままでは、やはりまずいか……」  と、つぶやいている。  床にすわりこんで見上げる天井には、巨大な二つの眼と、こちらも巨大な口が歯を見せていた。  天井いっぱいに広がるそれは、ルケルケ・7・トーが故郷の星から連れてきていたペットだった。
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