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「どこへ行ってたんだ?」
ルケルケ・7・トーが部屋に帰ってきたとき、すでにガニガニ・9・ボーテは帰っていた。
「いや……ちょっと、住民の調査に出ていました」
「こんな時間まで……?」
「自転車の練習はどうでした?」
あまりつっこまれたくなくて、ルケルケ・7・トーは訊ねた。
「それがな……いや、そんなことより、204号室の田仲一家は普通の住人ではないぞ」
「へえ。引っ越し屋さんだと思っていましたが……」
あの外見ではそう思われて当然である。一日にグランドピアノを十台ぐらい運べそう。
「それは隠れ蓑だ。実際はそうじゃない。しかし、調べようと思ったが邪魔が入った。ま、そのおかげで自転車には乗れるようになったが」
やっと田仲正義から開放されて駐車場に戻ったときには、もう例のトラックはいなくなっていた。
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