その名はタロー

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 それと、二度と逃げ出さないような対策も必要だ。以前に一度だけ住民にタローの存在を感づかれかけたことがあった。  同じフロアの住人である天海みこは、なにかの存在を感じただけで、それ以上はわからないようだったが、いくらなんでもすべてが露見することはないだろうと高をくくっていた。今さらだが、一応、対策はしておくべきだ。 「ちょっと外へ出てくる」  そのとき、ガニガニ・9・ボーテの声がドアごし聞こえた。 「どこへ行くんですか?」 「気分転換に、自転車の練習でもしてくる」 「行ってらっしゃい」  自転車に乗れないと、ここでの暮らしはなにぶん不便だった。  颯爽と自転車を運転するルケルケ・7・トーを見て、これは便利だと思ったガニガニ・9・ボーテだったが、いきなり乗れるわけもなく、 「自転車って、難しいな」
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