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一階から順番に玄関前で500円硬貨形の装置をかざすが、反応なし。
二階、三階と見て回る。反応なし。
――取り越し苦労だったかもしれない。
そう願いつつ、四階、五階と調べていった。
どうやら増殖はしていないようだ、との結論にホッと胸をなで下ろしかけて、最後の501号室の前で装置をかざしたら陽気なファンファーレが鳴り響いた。
ルケルケ・7・トーの表情が硬くなった。
「ここにいたか」
そうつぶやくと、呼び鈴を鳴らす。
しばらく待つも反応はない。予想どおり留守のようである。501号室の茶藤千雪はOLで、平日の午後、まだ明るいうちは外出しているはずだ。
ポケットから錠剤を取り出した。口に放り込み、待つこと一分……。
ルケルケ・7・トーの体はその形状を失い、着ている服ごと分子分解し、紙よりも薄い液体状に変化した。それがうごめき、501号室の玄関ドアの隙間から内部へと入っていった。
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