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玄関の内側で、今度は体が元に戻っていった。一分ほどすると、元の姿が完成した。
侵入成功である。
靴を脱いで手に持つと、500円硬貨形の装置をかざしながらリビングへと上がる。反応を示す警告音がリビングで大きくなった。どうやらここのようである。
だが目で見ても、それらしいものは見えない。
――さては、隠れているな。
ここへ定着したということは、この部屋の住人である茶藤千雪に、タローを呼び寄せたなんらかの精神的な要因があったはずだ。
茶藤千雪は、どこかこそこそと他人との関わりを避ける傾向が強く、おそらくそういうところがタローの分裂増殖を招いたのだろう。
ともかく、こいつを無力化しようと、装置に向かって命令した。
「無力化機能、作動」
500円硬貨形の装置がぼんやりと点滅しだし、作動を開始し始めた。
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