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哀しいくらいに澄んだ声は少年の胸を締め付ける。
彼はその痛みに微かに顔をしかめた。
「何言ってるんだよ」
震えそうな声を精一杯に律して彼は言う。
「今すぐには無理だけど、俺がさっちゃんを必ず治す。
だからそんな事言うな」
顔を上げた女性は、少し驚いた表情で少年を見つめた。
彼の姿が、まだ13歳とは思えない程凛々しく見えた。
その顔は、夢を語る少年の顔ではなく、固い信念を持つ一人の男の顔だった。
――この子は本気で……。
少年の言葉が胸にずしりと重く響いていた。
フワリと微笑んだ彼女は静かに口を開いた。
「頼もしいわね。
じゃぁ……忍が立派なお医者様になるまで私、頑張らないと」
そう話した彼女は、少しの間を置いて、言った。
「忍……この子も助けてね。
この子も私と同じなの。だから――」
コクリと固唾を呑んだ少年は、続く言葉に構えた。
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