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「別に相手にしていない訳じゃない。
ナースとの間に些細な‘行き違い’が生じて一人でも敵に回したら彼女達のネットワークは凄いですから。
ナースはヘタな同業者よりよっぽど頼れるパートナーです。
仕事に支障が出ないようプライベートで深入りしないようしているだけです。」
「じゃあ、女医や薬剤師はいいの」
「少なくとも徒党を組まれることは無さそうですからね」
綾子は微かに眉を上げた。
この男は滅多やたらと様々な女と関係を築いているわけじゃない。
すべて計算ずくなのだ。
女医や薬剤師、という孤高のプライドを持つ女の心情を逆手にとっている。
頭のいい女達はその事をちゃんと分かっているのに……彼に嵌まる。
緒方忍いう男を、自分のものにしてみたい、という女のプライドに掛けて。
そんな女達の気持ちを知ってか知らずか――小さなため息と共に煙を吐き、綾子は言った。
「酷い男ね」
「貴女はそんな酷い男とずっとこんな関係を続けている」
「もう……ホントに意地悪なんだから」
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