美羽

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 心地よい秋風が吹く朝。緒方美羽はクリニックのドアを開けた。 「美羽ちゃん、おはよう」  スリッパに履き替えて入ってきた美羽の姿を見、事務カウンターの中にいた受付嬢が声を掛けた。 「おはようございます」  軽く会釈しながら挨拶をした美羽はカウンター脇の廊下を通り、奥のロッカールームへ入っていった。  襟元にキュートなフリルが付いたピンク色のパジャマに着替えた美羽が大きな枕を抱えて透析室へ姿を現すと。 「おはよう、美羽ちゃん。今日はこっちのベッドね」  看護師が、ずらりと並ぶベッドの向こうからカルテ片手に彼女に手招きしていた。 そこに準備されたベッドに美羽は枕を置きバスタオルを敷くと横になる。 「今朝の体調はどう?」  担当の看護師が手際よく準備しながら優しく声を掛けた。 「ちょっと熱っぽいですけど……元気ですよ」 「熱か……。 感染症起こしていたら困るから、採血してCRPの数値検査しておこうね」 「はい」  看護師はそう言いながら美羽の胸に心電図をセットし、血圧を測り始た。
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