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開け放たれた個室の病室のドアに掛けられた白いカーテンが空調の風で微かに揺れていた。
部屋に溢れる秋色の光が廊下にも届いていた。
カーテンの向こうからは子守唄が聞こえてきていた。
ねんねこしゃっしゃりませ
寝た子のかわいさ
起きて泣く子の
ねんころろん――
弱く切れ切れの声だったが、胸に迫るくらいに哀しく澄んで美しかった。
学生服姿の少年はそっとカーテンを開けた。
窓からの、昼下がりの柔らかな日差しが差し込む白い部屋。
窓際のベッドには、儚げな女性が、小さな少女を膝に抱き、座っていた。
膝に抱かる少女は丸くなり、ぐっすりと寝込んでいた。
優しい笑みを浮かべる女性は、愛しげに少女を見つめ、背中を優しくさすり、子守唄を口ずさんでいた。
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