第4話 すれちがう恋と、夢

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. 梅には梅の事情があった。 彼女の言うとおり、銀座の支店で働いていることすら、俺からすれば凄いことなのだから。 最後のひとくちのコーヒーを飲み終えると、梅はふと呟いた。 「ねえ……。」 「ん?」 「久しぶりに、聖の作ったケーキが食べたい。」 「いいけど……余りものでよければ。」 俺の言葉に、彼女は不意に笑顔を見せる。 付き合い始めたころは、毎日見せてくれた無邪気な笑顔。 梅は初めて付き合った女の子だったから、彼女の何気ない行動にいつもドキドキさせられていたのに。 今は妙に懐かしさを抱くだけだ。 店を出ると、おそらく今日も幾つかは余っているであろうケーキを取りに、うちへと向かう。 いや……もしかしたら琴ちゃんが、全部持って帰ってしまったかもしれない。 その時はその時か……と。 嬉しそうにケーキを箱に詰める琴ちゃんの笑顔を思い出しては、自然と顔が綻んでしまう。 そんな俺を察したのか、梅はズバリ訊いてきた。 「……あの女の子とは、上手くいきそうなの?」 「そんな風に見える?」 「見えない。聖、そういうことに関しては不器用だと思うから。」 .
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