第4話 すれちがう恋と、夢

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. 「……今日、夕方から用事あるって言っていたの……あの人に会うためだったの?」 「うん、まあ……」 少し返事に躊躇ってしまったのは、会った理由がフランソワの件についてだったから。 琴ちゃんには、もう終わったことだと言っておきながら、実はまだ悩んでいたのだから。 すると彼女は、思いも寄らない言葉を口にした。 「コウちゃん、あの人のこと……好きなの?」 「え、まさか。それだけは絶対に有りえない。」 「じゃあ……どうして?」 梅との関係を誤解されるくらいなら、本当のことを話してしまったほうが良い。 そう思って、ずっと彼女には言えずにいたことを話す決意をした。 「俺……実を言うと、ずっと迷っていたんだ。」 「え……?」 「フランソワの、本店での修業の件。行かないでおこうって一度は決めたのに、父さんや梅の言葉が頭から離れなくて……」 ずっと、迷っていた。 けれども漸く心を決めた。 梅には明日返事をすると言ったけれど、俺の気持ちは完全に固まっていた。 「琴ちゃん。俺……パリに、行ってみようと思う。」 .
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