第4話 すれちがう恋と、夢

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. それなのに、彼女は唇をぐっと噛みしめる。 どんどん赤く染まっていく頬は、寒さのせいなんかじゃない。 今まで見たことのない感情的な姿だ。 「コウちゃんの、嘘つき!!」 「待って……!」 琴ちゃんの目元が一瞬、涙で滲んでいたような気がした。 止めようとする俺の手を振り払って、彼女は逃げるように店の前から走り去る。 気の利いた言葉のひとつさえも口にできないまま、まるでそこだけが時間の止まったように、動き出すことができなかった俺。 「そうじゃないんだ……」 暗闇の中に消えていった彼女の背中に、ひとり小さく呟いた言葉が、切なげに自分の耳へと届く。 俺はなんて、情けないんだ……。 涙なんて、いちばん見たくなかったのに。 流させたくなどなかったのに。 そんな小さな想いさえも、君に届けられない。 叶えたい恋と夢は、決して交わることなく平行線をたどっていく。 だったら最後に…… この気持ちだけは、絶対に伝えたい。 伝えなくちゃ、いけないんだ……。 彼女に出会って、俺の心の中に芽生えた感情を。 たったひとことの、言葉に代えて ―――。 .
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