第5話 つながる未来へ約束を

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. 俺が父さんの立場だったら、こんなに潔くエールなんて送れない。 やはり父さんは、何年たっても幼いころに憧れた父さんのままだと実感した。 「サンキュ……で、代わりの人はどうするの?」 店の心配をしているのも半分。 けれどももう半分は、琴ちゃんのことを心配して。 あんな言葉を投げかけられて、それでも未練たらしく彼女のことを考えてしまうなんて、俺は生粋のドMなのだろうか。 その質問に父さんは、何かを思い出したかのような顔を浮かべ、答えてくれる。 「そうそう、その件なんだけれど。 琴ちゃんのお母さんの昔からの友達で、パティシエとして店を出している人がいるんだと。 そこのお店のスタッフさんが、日替わりで手伝いにきて下さるようだ。」 「へぇ……それは良かった。」 「そうだろ。捨てる神あれば、拾う神あるってこういうことだな。」 「俺は別に捨ててなんか……」 「ごめん。冗談だよ。理由は何であれ、お前が進みたい道を選んでくれたことが……父さんは嬉しいよ。」 そう言って、優しく頭を撫でてくれる。 漠然と父の背中を見ながら、格好いいと憧れていた子供の頃に、何度もそうしてくれたように。 .
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