第5話 つながる未来へ約束を

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. 「あの女の人に誘われたから、パリに行くって決めたんでしょ!?」 「それは、違う……」 「そんなの、応援できないもん!!」 声を露わにして、俺の言葉を強く遮る。 聞く耳を持たない頑固さに、どうしようかと頭を抱えたくなる反面、胸の奥では小さな期待がどんどん膨らんできている。 だって、そんなの……やきもちを妬いているみたいだから。 けれども、またも微かに浮かび上がった涙に、そんなめでたい気持ちは吹き飛んでしまう。 もう……正直に話すしかない。 遅かれ早かれ、出発前にはきちんと伝えようとしていたのだから。 そう覚悟を決めたのも束の間、琴ちゃんは俺を避けるようにして、そそくさと奥へと行ってしまった。 代わりに登場したのは、母さんだった。 「琴ちゃんの声、聞こえてきたけど。何かあったの?」 「ん……、別に何もないけど。」 今すぐ彼女を追いかけたいのに、母さんがそうさせてはくれない。 明日の営業に関しての、何らかの話をしているようだが、琴ちゃんのことが気になって全てが耳から耳へと通り抜けていく。 「ちょっと、あんた……聞いてる?」 「あ、うん……。卵の発注だっけ……」 .
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