第5話 つながる未来へ約束を

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. 「でも誰が何って言ったって、俺が好きなのは……琴ちゃんなんだ。」 「……。」 「絶対に……ここに戻ってくるから。琴ちゃんのところに戻るって約束するから。 だから……他の男のものに、ならないで……」 自分勝手な願いだ。 夢も叶えたい。 でも、彼女の心も欲しい。 俺にとって全く価値の違うふたつを、天秤にかけることなんてできない。 狡い男だと罵られても構わない。 でも、どうせ最後になるのならば、全てを伝えきりたい。 どれくらい、その状態でいたのかは分からない。 どこからともなく聞こえてきた汽笛が、止まりかけていた時間を再び動かした。 胸のあたりで、もぞっと彼女の頭が縦に動く。 最初は何をしたいのか分からなかった。 けれどもそれは、何度も頷いてくれているようにも思えた。 その様子を上から覗き込むように見ていると、消え入るような小さな声が聞こえる。 「……あたし……正直に、言っていいの……?」 「え……?」 「離れたくないって思ったのは……コウちゃんのことが、好きだったからなんだって。」 「……。」 「酷いこと、いっぱい言っちゃったのに……好きだって言っていいの……?」 顔を上げた彼女の目からは、どうにもならないほどの涙が溢れていた。 他人の泣き顔なんて、見ていて気分のいいものでは決してないけれど。 琴ちゃんだけは特別だ。 .
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