第5話 つながる未来へ約束を

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. 「……大丈夫だよ。」 何度もそう言いながら、彼女の頭を優しく撫でる。 そうすればするほど、彼女の鳴き声は次第に和らいでいき、真っ赤に腫れた瞳がこっちを見上げていた。 「俺……琴ちゃんに会うまではさ、何に対しても消極的で諦めも早くてさ。 お菓子作る以外に趣味も特技もないし……かと言って、人より飛びぬけた才能があるわけでもないし。」 「で、でも……コウちゃんは……」 「でも今はさ……前に進みたいって、やっと思えるようになったんだ。自分のためだけでなく、誰かのために。 あの人は、キッカケを作ってくれただけ。 俺を動かしてくれたのは……君だよ、琴ちゃん。」 自信を持てずにいた俺に、君はいつでも元気を分け与えてくれた。 何か深い信念でもあるかのように、力強い言葉で背中を押してくれた。 今の自分に迷っているときも、悔しいときも辛いときも。 そして嬉しいときは一緒に喜んでくれて、幸せは2倍になった。 「あの日に出会ったのが、琴ちゃんじゃなかったら……傍にいるのが別の人だったら、俺はきっと駄目なままだった。」 「ううっ……」 「俺を変えてくれたのは……琴ちゃんだよ。 こんな俺の傍にいてくれて、慕ってくれて……好きになってくれて本当にありがとう。」 そこまで言いきると、琴ちゃんの涙腺はまた決壊していた。 その姿が堪らなく愛しかった。 .
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