第6話 甘い運命のイタズラ

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. しかも今日はパパの作ったお弁当だから、わたしの好きな唐揚げも入っているはずだ。 期待に胸を膨らませて蓋を開けると、色とりどりのおかずの中に美味しそうな唐揚げが5つも入っていた。 「……あんた、その弁当箱はないって。最早、御重箱じゃん。」 「いいの。だって、これくらい食べないと足りない。」 「……ハァ。食べることしか頭にないアンタが、どうして男子に人気があるのかが私には理解不能だよ。」 不服そうな彼女の声をスルーして、唐揚げを頬張った。 うん……。 やっぱりパパの作った唐揚げは最高だ。 残り5分の休憩時間で、どこまで食べられるかと必死に口を動かしていると、携帯を触りながらえみかが訊いてくる。 「そういえばアンタ、バイト始めるって本当?」 「え、うん! しかもなんと、ケーキ屋さんだよ!」 「……つまみ食いするなよ。」 「し、しないもん!!」 数日前、ママに言われた。 部活もしないで食べてゴロゴロしているくらいなら、バイトでもすれば? と。 そして昨日、『ケーキ屋さんでバイトしてみない?』と言われた。 ケーキ屋というフレーズに即決したのは言うまでもない。 .
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