第7話 憧れを追いかけて…

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. 「……『koto』は、コウちゃんが作ったケーキなの?」 「うん……そうだよ。俺がこっちに来て、初めて人から認められたケーキ。 スポンジはキャロットハニーの作り方をベースにして、蜂蜜風味のクリームとソースで仕上げたんだ。」 「やっぱり……。凄く、美味しかったよ。」 わたしの言葉に、コウちゃんは照れくさそうに鼻の先を掻く。 そして、不意に目を逸らしながら、独り言のように呟いた。 「琴ちゃんをイメージして、作った。」 「え……?」 「琴ちゃんは俺に、蜂蜜みたいな甘い気持ちを……いつも沢山くれるから。」 「……。」 照れ臭い気持ちは、絶対に目を逸らしながら口にする。 けれども、本当に伝えたいことは、きちんとわたしの目を見て口にしてくれる。 「……琴ちゃんの笑顔が、俺のパティシエとしての力の源なんだよ。」 「……。」 「本当は、琴ちゃんに食べて欲しかった。 だから……恥ずかしいけど、嬉しいよ。」 誰かを幸せにできる仕事。 けれども、その笑顔で自分も幸せになれる。 まるで魔法の連鎖反応だ。 わたしでも、コウちゃんみたいになれるのかな……。 いや、そうじゃない。 コウちゃんみたいに、なりたいんだ……。 .
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