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「コウちゃん……わたし、決めたんだよ。」
「え……?」
「わたしも……コウちゃんみたいな、パティシエになりたい。」
前に一度だけ話したことはあった。
けれども、それは選択肢のひとつでしかなかった。
「さっき、隣に座っていた人も『koto』を食べていたの。凄く幸せそうな顔で。
コウちゃんのしている仕事は、誰かを笑顔にできることで……。
わたしも、コウちゃんと同じ道を歩いていきたい。」
「……。」
「憧れるだけじゃなくて……コウちゃんと、ずっと同じ夢を追い続けるって決めたの。」
でも、今は違う。
わたしには、この夢しかないと思った。
好きな人と、好きなもので繋がっていられる。
そして、それは……
誰かを幸せできる素敵な仕事。
わたしが、コウちゃんのケーキを食べて、沢山の幸せな気持ちを貰ってきたように。
「だから……待ってる。わたしもその間、学校に通って色んなことを勉強するから……。
パティシエの卵になって、コウちゃんの帰りを待ってる。」
「うん……。」
「そうしたら……今度は一緒に、沢山の人の笑顔を作ろうね!!」
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