3868人が本棚に入れています
本棚に追加
/226ページ
第4話 すれちがう恋と、夢
.
「おはようございますー!」
朝10時ごろ、店先から聞こえてくる明るい声。
店内を掃除していた母さんと、笑顔で話している琴ちゃんの顔が厨房から見えた。
「おはよう、今年最後の営業日まで来てもらって御免なさいね。琴ちゃんがいると、お客さんの数も増えるからついついね。」
「いいえ。暇にしていたんで、大歓迎です! あ、私も掃除手伝いますっ!!」
そう言いながら、まずは上着と鞄を置きに裏へとやってくる。
そのタイミングを見計らって、俺は厨房から顔を出した。
ちょうどやってきた琴ちゃんと、見事に顔を合わせる。
「あ……コウちゃん。」
「おはよう。」
「……おはよう、ゴザイマス。」
やっぱり……様子がおかしい。
いつもなら、もっと元気に接してきてくれるし。
それ以前に、敬語なんて全く使わないのに。
妙な距離を感じる。
原因はやはり、梅のことだろうか……。
となると、琴ちゃんはやっぱり……。
「あのさ、昨日の……」
「え……?」
「あ、マカロン……凄く美味しかったよ。綺麗な形だったし。」
.
最初のコメントを投稿しよう!