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第5話 つながる未来へ約束を
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翌日、電話で梅に話した。
フランソワの話を受けることを。
電話越しの彼女の声は、まるで自分のことのように喜びに溢れていて、それに少し救われたような気がした。
そして今、父さんにも自分の決意を話した。
仕事終わり、後片付けをしている最中。
「そうか……ついに、決めたか。」
開口一番の言葉は、酷く落ち着いているように思えた。
逆に違和感があるくらいに。
そこからはショックを受けているのか、それとも受け容れているのか、その反応を窺がうことが出来なかった。
だから、自然と口から謝罪の言葉が出てしまう。
「うん。ごめん、父さん……」
「ん? どうして謝るんだ?」
「だって、俺がいなかったら……大変だろ?」
高校生の頃から、バイト代わりに父さんの仕事を手伝ってきた。
休みの日なんて、それこそ1日中。
この数年間で、父さんだって年を取った。
今更、昔のようにひとりで全てをこなしていくのは、正直難しいところだろう。
「まあ、大変だけれど……。聖のためだと思えば、大したことじゃない。」
「……。」
「お前が腕を上げて戻ってくるの、楽しみに待っているからな。」
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