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 今日も学校を終え、友達と帰る小学生の男の子二人が横断歩道の信号がかわるのを待っていた。 「あーハラへった」 「俺も。昼飯なんだろ?」 「知らねぇよ、コウんちの飯なんて。俺は昨日のカレー、朝も食べたし、もう飽きた」  二人が一緒に帰るのはいつも横断歩道を渡ったところまで。 「また明日」 「明日は日曜だぞバーカ」 「……」  少年が近所のスーパーの前を通りかかったとき、母の姿が目に入った。 「母さん」  また、亮のおばちゃんと長話しをしている…。お腹をすかせている少年は声をかけたが、夢中になっている二人は彼の声にまったく気付く様子もなく喋べり続けている。 「母さん!母さんってば!!」  息子の声に気付きやっと話が止まった。 「あら、浩太」 「あらじゃないよ。何回も呼んだのに」 「コウくん、こんにちは」 「おばちゃん、亮さっき帰ったよ、ハラへってたみたい」 「そう、昨日のカレーがあるから勝手に食べるでしょ」 「いいわねぇカレー、うちも明日カレーにしようかしら、ねぇ?浩太」 「……」  数分後… 「それじゃあ西田さん」  母の足がやっと動きだした。
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