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 バスターミナルで乗客を降ろしたバスは人もまばらで、ガランとしている。  女子高生はメールをやめたかとおもうと、今度は化粧を直しはじめた。 「運転手交代しますので、しばらくお待ちください」と言う声にふと、前の方を見た。  視界に、何かが入った。一番前の席の近く。ここからじゃ一体それが何なのかはわからないが、うすっぺらくて黒い物であることぐらいはわかった。  まぁ、誰か気付くだろうと再び化粧を直し始めると、次の運転手が乗って来た。 「お待たせしました。発車します」  バスはゆっくり動きだし、ターミナル内をぐるっと回ると乗り場に停車し後ろのドアを開けた。  最後の人が乗ると運転手はドア閉める前にバックミラーで後方を確認した。女性がこちらに向かって走って来るのが見えた。   「すみませんっ!」  女性は息をきらせながら乗り込むと、中ほどに席を見つけて座った。  バスはターミナルを出ると西日に染められた。そして人々と、うすっぺらくて黒い物を乗せて再び街を走り出した。
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