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都季は首を傾げた。
その後、綾に続いて給金をいただいた上級女らも、皆いぶかしい顔を見せたのである。
「都季」
「はい」
自分の名を呼ばれ前に出た都季は、漆塗りの矩形(くけい)の盆から手渡された給金を両手に受けたとき、ようやく皆の心を知った。
思っていたほどの重みを感じなかったのである。
「家長様。再度申し上げます」
全員が給金をいただくのを見届けた綾は、思いきった口調で言った。
「皆の様子を見れば、皆の給金が少なかったのだと判じられます。これに手違いがないとは、いかなる由かお聞かせください」
家長はしばし黙った。
しかし、理由を告げたほうがよいと判断したらしく、やがて重い唇を開いた。
「租税が上がったのだ。娼館に負担が掛かれば、娼妓の給金は下がる」
綾は閉口し、他の上級女らは目と目を見交わした。
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