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都季は、その足で郭署に赴いた。
郭署に着き、出奔事件の折に都季を雪美館に送り届けてくれた検使を見つけ、蘭署長に会いたいと申し出た。
難なく執務室まで案内されたのは、おそらく事件に関する話を持参したと思ったのであろう。
執務室の机に向かっていた蘭署長は、都季の姿を見ると、偉進の前で見せたような顔で都季を歓迎した。
「これはこれは、都季ではないか。いかがした。一人寝が寂しいなどと催促に来た訳では無かろう?」
おもしろくもない戯れ言であるが、上機嫌であることは判る。おそらく、先だって偉進に望んだ姪の宮殿入りが叶えられたのであろう。
会議をするための部屋かと思われる次の間にいざなわれ、蘭署長がすすめた椅子に腰を落ち着けてから、都季はようやく本題に入った。
「蘭様。お頼みしたい事が……」
「頼みとは」
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