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「許可証を発行していただきたいのです」
懐から出した申請用紙を机に置くと、蘭署長の眉が曇った。
「何を寝ぼけたことを。雪美館は出奔した私娼が元居た娼館とあって、他の娼館より許可証を発行しがたいのはお前も存じておろう」
「はい。故に、蘭様に直に頼みにきたのです」
「無理を申すな。お前に発行したのが私だと上に露見したらどうしてくれる。色に惑わされて職務を怠ったと左遷されるやもしれぬ」
「あら。さような事で左遷に? では、私欲の為に私の審判を取りやめたことが露見すれば一大事なのでは。私を口止めせずとも宜しいのですか?」
侮蔑する目が都季を睨んだ。
「それは何か。許可証を出さねば上に告げると。そう言いたいのか」
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