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「まさか。私は蘭様に助けていただいた身です。しかし口には蓋をしておかねば、いつそれが飛び出るやら私も不安でございます」
「うまいことを言いおって……」
蘭署長は「チ」と舌を打つと「二度は無いと心得ておけ」と言い放った。
「ありがとうございます」
「しかし条件がある」
都季は目で続きを促した。
「発行はしてやるが、流石に縁故がありありと見える事は出来ぬ。発行の種類を私用では無く公用とする故、下人を一人つけろ」
公用は、娼館の遣いなどに分類される許可証で、買い物や里帰りといった私用に分類される許可証より発行されやすく、目附役の者がいれば尚のこと容易に発行されるのである。
「判りました。ありがとうございます」
都季は、不快に見つめる蘭署長の視線を受け止め、深く頭を下げた。
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