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かほどに機転のきく娘たちが未だ二階の担当をいただけず一階担当におさまっているのであり、それすら覚えておらぬ新参者が上級女の周りをうろつくのは、彼女らからすれば許しがたいことなのである。
「女長」
器を拭いていた部屋付きがセツを見つめた。
「カヨが部屋付きになれたのは、帳面を探すのに人手が欲しかったからだと思いませんか?」
「さあ……」
セツは曖昧に呟いた。
器を片付けていた部屋付きが手を止めた。
「絶対そうですよ。だって、そのせいで人手が足りなくなったって調理場の子が言ってましたもん」
洗い女に欠員が出たので、調理場担当から洗い女に昇進した者が二名いるのだ。
つまり、洗い女は一名欠け、調理場は二名欠けたのである。
しかも、すでに調理場は有能であった宗加を失ったことで痛手を負っていた。当たり前に考えてもこの人事異動は不自然であった。
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