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セツは深々と頭を下げた。
「都季様、驚かせてしまい申し訳ございません。実は人事に関して揉めており、ハナエ様は新たな役職を設置するなどして複数の下女を異動させることに決めたそうです」
新たな役職という言葉に、カヨは双眸を耀かせた。
おそらく自分の能力が認められ、特別な役職が用意されたのだ。やはり自分は間違っていなかったと思うと感嘆した。
「カヨ。ハナエ様から直に達しがあるでしょうし下舎に戻りなさい」
カヨはゆるりと一礼し、都季の部屋を後にした。
下舎のハナエの部屋を訪れると、そこには既に四人の部屋付きと三人の洗い女が連座していた。
ハナエは皆の顔を見ると、文机に置いていた人事案を読みはじめた。
「あーっと、じゃあまず一階担当のモエとサヨ。お前らは二階担当」
警吏に連れてゆかれたと聞いた筈のモエが、カヨの隣に座していた。
モエとサヨは、手を取り合って喜んでいる。
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