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ハナエは淡々と続けた。
「で、洗い女の三人。お前らは皆、部屋付きに昇格。もちろん一階担当さね」
洗い女の三人は息を飲み、やがて肩を抱きあって喜んだ。
「さて、本題だ。新たな役職を設置するってのは皆聞いたと思うけど、新たな役職ってのは調理場と風呂場だ。部屋付きから異動になると降格と思っちまうかもしんないけど、副料理長と洗い女長だからね。心して受けてほしい」
カヨは固唾を飲んだ。
おそらく自分が任命されるのは洗い女長であろうと思うと、心がはやるのを押さえられなかった。
ハナエは「では発表する」と再度、皆の顔を見つめた。
「副料理長には王燕(おうえん)」
王燕は齢四十を過ぎた部屋付きである。
ハナエが「料理長から、調理場に残ってほしい人だったって聞いたよ。これからよろしく頼むからね」と重ねると、王燕は「ありがたくお受けいたします」と頭を下げた。
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