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「ははは。俺は高官でも無けりゃ、この役職に心血を注ぐ気も無いんでな。興味の無い事は知らん」
都季は呆れた。
「あてにならぬではないですか」
「ははは。すまんすまん」
「謝るなら誠意を込めて態度で示してくださいませんか」
「阿呆な事をぬかすな。男がそう容易く頭を下げられるか。謝ったら敗けだ」
「何を仰るのやら……まったく……」
肩でため息を吐いたとき、偉進の掌が頬に触れた。
しかして、その手は滑るように都季の首の後ろにたどり着いた。
この手は、都季の頭を引き寄せ、唇を重ねるためのものだと判ってしまう。
「あの……飲み足りぬのではないですか?」
「萎えるような事を言うな」
「しかし……」
都季は偉進の顔が近付くと、つい顔を余所に向けた。
「おい、何故逃げる」
「まだ……そういう気分では……」
「気分だと? 娼妓のくせにくだらんことを言うな」
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