第28話

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「旦那様……何を……!」 偉進は見た目にそぐわぬ力強い腕で都季を肩に担ぎ上げ、屏風を折って閨房に入ると、寝台に都季を放り投げた。 偉進は官吏であり、薬店の当主。そればかりでも女が放っておかぬ男だが、腹立たしいことに見目もよい。 都季は自らに跨がった影を見上げ、偉進の抱きかたを思い出した。 さぞ遊び尽くしたと思われる偉進の抱きかたは、女が気持ちよいと思うところを淫靡に執拗にもてあそび、しかし高みは見させず、女が自ら偉進を欲するまで焦らす。芝居は通じない。 「そういう気分にしてやろう」 重くのし掛かった偉進が頬をすり寄せ、耳を噛んだ。襟から忍ばせた手で胸をまさぐり、親指で頂きを転がした。ただ、そればかりのことで都季の体が震えた。 「お許しください」 都季は偉進の胸を押し離した。
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