第33話

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「初めてか」 斎の肩に顔を埋めたシノに問うと、頷いた動きが肩に伝わってきた。表情は見えぬが、シノの耳は熱を発し紅潮している。 「やはりな」 斎は鼻で笑った。 シノが男の視を意識せず足を見せたのは、純真無垢であるが故だ。 「お前は無防備過ぎる。男とはいかなるものか覚えたほうがよい」 シノの背を抱く腕とは反対の手で、シノの長衣の裾をたくし上げた。 仰向けた斎には露となった白い足は見えぬ。確かめるかの如く、太股を撫で上げると、シノは斎の衣を握りしめて体を震わせた。 しかし、媚びぬ娘かと思われたシノには抗う気配はない。うろたえるなり、悲鳴をあげるなり、何らかの反応があると思っていただけに、肩透かしを食らった気分である。 「お前は何故黙っている。何をされるか判じておらぬのか」 「わ、判ってます……女将様に……もしもこうなったら大人しくしてなさいと言われて……」
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