一に挨拶、二に挨拶

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僕「よし朝の定例報告も終わったし、今日のスケジュールでも確認しとくか。頼むよ鈴木さん」 鈴木「はい、まずは八時からティーブレイクを挟み」 僕「西欧か。小休止から始まる仕事って何様だ僕は」 鈴木「何様ですかあなたは」 僕「その通りだが、あれ、何かがおかしい」 鈴木「その後、社内での会議に出席していただきます」 僕「会議ね。議題は何だったかな」 鈴木「今月は挨拶促進月間ですので、主だってはそれを。ついでに、社員の足切りについてです」 僕「メインディッシュっぽいのサラダに回しちゃった!」 鈴木「会議終了後、脇の事務倉庫内で挨拶の練習」 僕「挨拶の練習!? え、それ必要!?」 鈴木「こちらがマニュアルとなっております」 僕「そんなんあるんだ……どれどれ。挨拶とは時間帯によって文言が変わる。朝はおはよう、昼時はこんにちは、夜にはこんばんわなど、口にする時間帯によって気を配らなければならない」 鈴木「使い分けが難しいようであれば、ご機嫌ようというのがマルチに対応しており、非常に便利です」 僕「お前、僕をそのレベルで馬鹿だと思ってるんだ……」 鈴木「この練習がおおよそ四時間ですね」 僕「四時間!? ご機嫌ようまで含めて挨拶四単語、各一時間!?」 鈴木「社長には、ここで挨拶を極めていただきます」 僕「何の為だよ! マナー検定ぐらいにしか活かせる術がねえよ!」 鈴木「その間、私含め、幹部職員は同会議室で社員足切りについての見通しを話し合います」 僕「僕無しで!? それってもうチーズバーガーをチーズ抜きで注文するようなもんだよね!」 鈴木「ふふ、上手いこと仰る」 僕「笑い事じゃねえんだよ。てか、そんな暗い話し合いが行われている脇でハキハキ挨拶の練習って……複雑過ぎるわ」 鈴木「その後、午後の昼寝が入ります」 僕「だから西欧か。起きぬけにハニーっつってやろうか」 鈴木「挨拶マスターとしては、ハローの方が適切かと」 僕「上手く返されてなんか悔しい!」 鈴木「そして、次の仕事が今日の締めくくりとなります」 僕「昼寝から目覚めた後ね。どんな仕事かな、もう何が来ても驚かない自信があるよ」 鈴木「その足でマナー検定会場へと向かっていただきます」 僕「あ、ほんとに受けるんだ僕!」
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