4人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
僕「ややややあ鈴木さん」
鈴木「人の名前をチャゲアスっぽくするのは止めていただけますか」
僕「こう寒くては、舌も回らなくてな。今朝のように凍えて身を縮めながら出勤していると、時折、僕は一体何の為に会社に来ているんだろうと思う瞬間があるよ」
鈴木「仕事をしに来ているのであってほしい」
僕「ははは分かってるさ、僕は社員の生活を支える社長だからな」
鈴木「私は時折こういう時に、あなたが社長だったことをふと思い出します」
僕「え、てことは常時忘れてんの? それが平常運転なの?」
鈴木「暖気運転です」
僕「それで!? アイドリングストップした時が怖い!」
鈴木「ていうかよく見たら社長、コートの下は……何を考えてかアロハですか。謎が謎を呼ぶ格好をしていらっしゃいますね」
僕「道行く人が僕を視界に捉えた時、気分だけでも南国よろしく暖かくなるようにとの気配りだよ」
鈴木「なんとまあ迷宮入りした気配りで。私には、TUBEがなごり雪歌ってるくらい季節感あべこべに感じられますよ」
僕「冬さえ感じなければ寒さなんて吹き飛ぶだろう?」
鈴木「僭越ながら、一緒に常識も吹かれて飛んでいってます社長」
僕「ははは、あなたは有能な人だが、惜しむらくは陰口のボリューム調節が苦手な点だね」
鈴木「陰口なんて口にしたことは無いですよ。全て社長の目を見るようにして言ってます」
僕「それ本気で言ってるんなら再教育だぞ」
鈴木「そうそう再教育で思い出したのですが」
僕「嫌な思い出し方だな。背筋が冷たくなるんだけど」
鈴木「そんな時こそ暖気運転ですよ。何の為のアロハですか」
僕「これ、そういう使い方なんだ」
鈴木「そうですよ。それ以外にアロハにどんな使い道があるっていうんですか」
僕「お前、今すぐ気持ち南向きに謝罪しろ」
鈴木「揚げ足を取る男は嫌われますよ、社長」
僕「はいはいそうですね。で、何を思い出したんだ?」
鈴木「昨日、子会社のU商事が利益の不正計上を行っているとして摘発されました」
僕「……oh,myじーざす」
最初のコメントを投稿しよう!