じーざす

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僕「ややややあ鈴木さん」 鈴木「人の名前をチャゲアスっぽくするのは止めていただけますか」 僕「こう寒くては、舌も回らなくてな。今朝のように凍えて身を縮めながら出勤していると、時折、僕は一体何の為に会社に来ているんだろうと思う瞬間があるよ」 鈴木「仕事をしに来ているのであってほしい」 僕「ははは分かってるさ、僕は社員の生活を支える社長だからな」 鈴木「私は時折こういう時に、あなたが社長だったことをふと思い出します」 僕「え、てことは常時忘れてんの? それが平常運転なの?」 鈴木「暖気運転です」 僕「それで!? アイドリングストップした時が怖い!」 鈴木「ていうかよく見たら社長、コートの下は……何を考えてかアロハですか。謎が謎を呼ぶ格好をしていらっしゃいますね」 僕「道行く人が僕を視界に捉えた時、気分だけでも南国よろしく暖かくなるようにとの気配りだよ」 鈴木「なんとまあ迷宮入りした気配りで。私には、TUBEがなごり雪歌ってるくらい季節感あべこべに感じられますよ」 僕「冬さえ感じなければ寒さなんて吹き飛ぶだろう?」 鈴木「僭越ながら、一緒に常識も吹かれて飛んでいってます社長」 僕「ははは、あなたは有能な人だが、惜しむらくは陰口のボリューム調節が苦手な点だね」 鈴木「陰口なんて口にしたことは無いですよ。全て社長の目を見るようにして言ってます」 僕「それ本気で言ってるんなら再教育だぞ」 鈴木「そうそう再教育で思い出したのですが」 僕「嫌な思い出し方だな。背筋が冷たくなるんだけど」 鈴木「そんな時こそ暖気運転ですよ。何の為のアロハですか」 僕「これ、そういう使い方なんだ」 鈴木「そうですよ。それ以外にアロハにどんな使い道があるっていうんですか」 僕「お前、今すぐ気持ち南向きに謝罪しろ」 鈴木「揚げ足を取る男は嫌われますよ、社長」 僕「はいはいそうですね。で、何を思い出したんだ?」 鈴木「昨日、子会社のU商事が利益の不正計上を行っているとして摘発されました」 僕「……oh,myじーざす」
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