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エリスを病院へ連れて行き、オレは帰宅した。まったく、初日からなんて日なんだ、くそっ。
結局病院へ行ったが、足に異常は認められなかった。帰り道普通に歩いていたところを見て、仮病だったのだろう。
もちろん、銃殺されたくないので言わなかったが。
床にごろんと寝ころぶ。
あーあ、卒業式行けなかったな。みんなは友達、というやつができているのだろう。オレはここに来たばかり、知り合いなど1人もいない。
絶対はみられる。都会ではみられると、IJIMEと呼ばれる現象があると聞いた。それをされた人は、楽しい学校生活を送ることがかなわなくなるという。
田舎の人たちは、都会に住む魔物、IJIMEに気をつけろと何度もオレに行ってきた。
でも、得体の知れない敵にどう対処すればいいのだろうか。
せっかく東京まできたってのに……。
ピンポーン。チャイムが鳴る。
ん?知り合いなんていないはずだが、誰が訪ねてくるっていうんだ?
もしかして、エリスじゃないだろうな……。
面倒を避けたかったオレは、居留守を決め込む。
ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。
チャイムは鳴りやまない。
実家にチャイムなどなかったオレにはこれが鬱陶しくてしかながない。
ピンポーンピンポーン。ピンピンピンポーン。
もう我慢の限界だ。タッタッタッタッタ。オレは玄関に走っていき、扉を激しく開ける。
「ぴんぴんぴんぽぉぉおぉん!」
叫ぶと同時に、鈍い音がした。
「う、うぅ……」
女性のうめき声。
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